昨年の平成30年7月豪雨により被災された皆様に謹んでお見舞い申し上げます。一部被災地へは足を運び被災状況も確認しておりますが大変厳しい状況にありました。半年以上経ちますがまだ避難所生活を余儀なくされている方もいらっしゃると聞いておりますので、一日も早く元の生活へ戻れるようお祈り申し上げます。
平成30年7月豪雨では河川のはん濫や堤防決壊、ダムの放流などがマスメディアから注目されましたが、私には他にも気になる件が1つありました。それはため池の決壊事故です。
平成30年7月豪雨におけるため池の決壊事故は全国で32か所にも及びます。マスメディアでも決壊事故について報道があり、社説で問題提起をするメディアもありました。
ですが、問題提起は今更感もありました。
豪雨が原因のため池決壊事故は、直近10年で実に300件以上も発生しており、平成16年台風23号における豪雨では淡路島だけで186か所のため池が決壊する大惨事でした。実は以前からため池の決壊事故は起こっていたわけです。
ところで、そもそもため池とはどういうものなのかみていきましょう。
ため池とは降水量が少なく流域が大きな河川に恵まれない地域などで農業用水を確保するために、水を貯え必要な時に取水できるように造成された池の事です。大きな河川に恵まれない西日本に多く、全国の半数以上が瀬戸内に集中しています。また、堤体と呼ばれる湖水をせき止める本体 部分は土や石を山のように盛り立てて造りますが、傍から見ると盛土や土手に見えてしまいます。ちなみに高さ15mを超えるものは「ダム」に分類されます。
ため池は、古いもので稲作が行われるようになった弥生時代から造られるようになり、7世紀に造られた日本最古のダム式ため池で、世界かんがい施設遺産に認定された狭山池は改修を繰り返しながら現在でも使われています。
また、100年以上前に造られ老朽化が進んだため池は、全国のため池約20万箇所のうち約70%にのぼり、多くが江戸時代以前に造られました。改修が行われたため池は良いのですが、まだまだ多くのため池が改修されずに老朽化したままの姿で使われています。
ため池が抱える問題は老朽化だけではありません。日本の少子高齢化と同様に、農業従事者の減少・高齢化もあります。高齢者1人で管理しているため池も存在するなど維持管理水準が低下し十分な防災対応がとれないおそれがあります。多くのため池では日常的な巡回や非常事態での監視員の配置等で水位監視を行いますが、高齢化や人口減少のため人員確保が困難になりつつあります。また、豪雨時には監視・巡回する事が大きなリスクにもなります。実際、平成23年8月豪雨では事故には至らないものの、豪雨時の巡回は危険性が高いため断念しているケースがありました。
ため池の決壊メカニズムは主なものは下記3つ。
堤体内部が劣化して水を遮る機能が低下すると、貯水位が上昇したときに堤体内の水圧も上昇して強度が低下し破壊 する場合があります。また堤体内に上流から下流に向かう水みちが発生し破壊する場合がある。
貯留した水と降雨が堤体の中に浸透して、堤体内部の水分量が増加し堤体ののり面部の強度が低下することによって、法面部で滑りが発生し破壊する場合がある。
豪雨により貯水位が急上昇し堤体を超えて流れ出し下流斜面を流下する事によって、破壊する場合がある。また貯水位の上昇により堤体内の水圧も上昇し強度が低下して破壊する場合がある。
これらの決壊原因からため池を守る方法として、豪雨の際に危険水位を超えないように予め水位を下げたり、ため池の水位監視をする必要があります。ですが、河川やダムに設置されている既存の水位計は数百万円以上もかかり高コストなため、ごく一部のため池にしか設置されていません。
そこでエイビットのIoT水位計の出番です。
写真のように非常に小型で軽量なため、簡単な設備で設置する事ができます。
老朽化したため池でも堤体や周辺へ少ない負荷で設置する事が可能です。
電池駆動のため設置場所は日照条件に左右されません。
また、水位データを自治体の防災情報WEBページやクラウド上へあげる事によって、ため池水位の遠隔監視が行えます。豪雨時にため池へ常駐する必要がなくなりため池監視員の負荷を大幅に軽減する事が可能です。
万が一危険水位を超えるような緊急事態になったとしても住民や関係機関へ迅速な情報展開が可能になり、ため池決壊による被害を最小限に抑える事ができるはずです。
エイビットのIoT水位計は、費用も工数も削減した低コストの水位管理を提供します。